ダイエットや健康のために運動を始めようと思ったとき、「有酸素運動がいいの?それとも無酸素運動?」と迷ったことはありませんか?
「有酸素運動=脂肪燃焼」 「無酸素運動=筋肉をつける」
このイメージは正解ですが、両者の違いをきちんと理解し、目的に応じて使い分けることで、運動の効果は格段にアップします。
この記事では、有酸素運動と無酸素運動の違いから、それぞれの効果、そして具体的な使い分け方まで、初心者の方にもわかりやすく解説します。
そもそも有酸素運動と無酸素運動って何?

有酸素運動と無酸素運動の違いは、運動中に使われるエネルギーの作り方にあります。
1. 有酸素運動:酸素を使って脂肪を燃やす
有酸素運動とは、筋肉を収縮させるためのエネルギー源として、主に酸素と体脂肪を使う運動のことです。
- 特徴:
- 比較的軽めの負荷で、長時間続けられる
- 呼吸が楽で、会話ができる程度の運動強度
- 主な例:
- ウォーキング、ジョギング、水泳、サイクリング、エアロビクス
有酸素運動では、運動開始直後から脂肪の燃焼は始まっています。ただし、20分ほど経過すると脂肪がエネルギー源としてより多く使われるようになるため、体脂肪を減らしたいダイエット目的の人に特に適しています。
参照:「これって常識?非常識?」
2. 無酸素運動:酸素を使わずに糖をエネルギーにする
無酸素運動とは、筋肉を収縮させるためのエネルギー源として、主に酸素を使わずに糖を使う運動のことです。
- 特徴:
- 非常に高い負荷で、短時間しか続けられない
- 息が上がって、会話ができないほどの運動強度
- 主な例:
- 筋力トレーニング(筋トレ)、短距離走、高負荷のジャンプ
無酸素運動は、瞬間的に大きな力を出す必要があるため、筋力アップや筋肥大を目的とするトレーニングに用いられます。
有酸素運動と無酸素運動のメリットと効果

それぞれの運動が私たちの体にどのような効果をもたらすのか、詳しく見ていきましょう。
有酸素運動のメリット
1. 体脂肪の燃焼効果
有酸素運動の最大のメリットは、体脂肪を燃焼させる効果です。酸素を使いながら行うため、体内に蓄積された脂肪がエネルギー源として消費されやすくなります。
2. 心肺機能の向上
心臓や肺に適度な負荷がかかることで、心肺機能が向上します。これにより、血液循環が良くなり、スタミナがつきやすくなります。
3. 健康維持・生活習慣病の予防
継続的な有酸素運動は、高血圧や糖尿病といった生活習慣病の予防にもつながります。
無酸素運動のメリット
1. 筋肉量の増加
無酸素運動は、筋肉に高い負荷をかけることで筋繊維を破壊し、「超回復」によって筋肉を大きく強くします。
2. 基礎代謝の向上
筋肉は、何もしなくてもエネルギーを消費する「基礎代謝」に大きく貢献します。無酸素運動で筋肉量が増えると、基礎代謝が上がり、太りにくく痩せやすい体になります。
3. ボディラインの引き締め
筋肉がつくことで、体のラインが引き締まり、メリハリのある美しいボディラインを作ることができます。
運動目的別|効果的な使い分け方

「じゃあ、結局どっちの運動をすればいいの?」という疑問に答えるべく、目的別に最適な運動方法を解説します。
目的1:ダイエット・体脂肪を減らしたい
筋トレ(無酸素運動)→ 有酸素運動
この組み合わせが、最も効率的に体脂肪を減らす方法です。
- 無酸素運動(筋トレ)を先に行う 筋トレをすることで、成長ホルモンが分泌され、体脂肪が分解されやすい状態になります。
- 有酸素運動を後に行う 筋トレで分解された体脂肪が、有酸素運動によって効率よく燃焼されます。
参照:「肥満と減量(理論編) 知っておきたい肥満と減量の基礎知識【理論3】減量に筋力トレーニングが必要な理由」
- 準備運動(ストレッチなど)
- 筋トレ(スクワットやプッシュアップなど)を20~30分
- 有酸素運動(ウォーキングやジョギングなど)を30~40分
- 整理運動(クールダウンストレッチ)
この順番で行うことで、有酸素運動を最初に行うよりも、はるかに高い脂肪燃焼効果が期待できます。
目的2:体力・持久力をつけたい
有酸素運動を中心に行う
持久力をつけたい場合は、有酸素運動をメインに行いましょう。ジョギングや水泳などを継続して行うことで、心肺機能が向上し、スタミナがアップします。
- 週に3〜4回、30分以上を目安に行う
- 運動強度を徐々に上げていく
有酸素運動だけでも、ある程度の筋力はつきますが、筋力アップを目的とするなら無酸素運動も取り入れるとさらに効果的です。
目的3:筋肉を大きくしたい・ボディメイク
無酸素運動(筋トレ)を中心に行う
筋肉を大きくしたい、または体のラインを整えたい場合は、無酸素運動をメインにしていきましょう。
- 筋肉に高い負荷をかけ、筋繊維を破壊する
- 鍛えた部位はしっかりと休息させ、超回復を促す
- タンパク質を意識的に摂取する
有酸素運動も取り入れることで、体脂肪を減らし、筋肉をより際立たせることができます。ただし、やりすぎると筋肉が分解される可能性もあるため、週に1〜2回、20〜30分程度に留めるのがおすすめです。
有酸素運動と無酸素運動を組み合わせる際の注意点

1. 運動のやりすぎに注意
どちらの運動も、やりすぎるとオーバートレーニングとなり、怪我のリスクが高まったり、体の回復が遅れたりします。
自分の体力に合わせて、無理のない範囲で継続することが最も大切です。
2. 休息日を設ける
特に無酸素運動では、筋肉を休ませることで成長します。最低でも24〜48時間の休息を挟むようにしましょう。
3. 食事も大切
どんなに運動を頑張っても、食事内容がおろそかになっては効果は半減します。
- タンパク質:筋肉の材料
- 炭水化物:エネルギー源
- ビタミン・ミネラル:体の調子を整える
- 脂質:体内のホルモンの材料
これらの栄養素をバランス良く摂取することを心がけましょう。
有酸素運動と無酸素運動に関するQ&A
Q1. 有酸素運動だけで痩せられる?
はい、有酸素運動だけでもカロリーを消費するため、痩せることは可能です。しかし、筋肉量が少ないと、リバウンドしやすい体になってしまいます。
無酸素運動を組み合わせて筋肉量を増やすことで、基礎代謝が上がり、リバウンドしにくい痩せやすい体を作ることができます。
Q2. 運動時間はどれくらいが理想?
- 有酸素運動: 脂肪燃焼効果を高めるためには、20分以上継続することが望ましいとされています。ただ、脂肪の燃焼自体は運動直後から始まっているため、運動を継続していくことも重要です。
- 無酸素運動: 全身をバランス良く鍛えるために、30分〜1時間程度が目安です。
無理のない範囲で、まずは週に2〜3回から始めてみましょう。
Q3. 筋トレと有酸素運動の順番を逆にしたらどうなる?
有酸素運動を先に長時間行ってしまうと、疲労が蓄積し、その後の筋トレで力を出しきれなくなってしまう可能性があります。
筋トレで筋肉に十分な負荷をかけられなくなると、筋力アップや筋肥大の効果が薄れてしまいます。
ダイエット目的の場合は、やはり「筋トレ→有酸素運動」の順番が最も効率的です。
参照:「肥満と減量(理論編) 知っておきたい肥満と減量の基礎知識【理論3】減量に筋力トレーニングが必要な理由」
まとめ
今回は、有酸素運動と無酸素運動の違いと、効果的な使い分け方について解説しました。
- 有酸素運動:酸素と体脂肪を使う、低〜中強度の運動。脂肪燃焼や心肺機能向上に効果的。
- 無酸素運動:酸素を使わずに糖を使う、高強度の運動。筋力アップや基礎代謝向上に効果的。
どちらか一方だけを行うのではなく、目的に応じて両者をバランス良く組み合わせることが、理想の体を手に入れるための近道です。
無理のない範囲で、楽しみながら運動を継続していきましょう!
